内視鏡的胆管ドレナージ(ステンティング)

急性胆管炎や結石や腫瘍などにより胆汁うっ滞が生じた場合に、胆管内の圧力を下げるための治療が必要になります。口から挿入する内視鏡を用いてこの治療を行う方法を内視鏡的胆管ドレナージと言います。ドレナージという言葉は、何らかの原因で体内に貯留した血液・浸出液などを排液することを意味します。内視鏡的胆管ドレナージにおいては貯留している胆汁を、胆管から体外あるいは腸内に排出する治療手技です。内視鏡を十二指腸まで挿入した後に、胆管が十二指腸に開口している乳頭部から、胆管にチューブやステントを、胆汁うっ滞の原因となっている結石や腫瘍よりも上流の胆管まで挿入します。大きくわけて二種類の方法があります。体外に胆汁を出すために、胆管に挿入したプラスチック製の長いチューブ(径2mm程度)を鼻から出す外瘻法(内視鏡的経鼻胆管ドレナージ術:ENBD)と、腸内に胆汁を出すために短いステント(径2~10mm程度)を留置する内瘻法(内視鏡的胆管ステント留置術:EBS)があります。内視鏡的経鼻胆管ドレナージ術は、より確実に胆汁がドレナージできるため治療効果が高いですが、鼻咽腔の違和感や見た目の悪さが欠点です。内視鏡的胆管ステント留置術は、ステントが体内に埋め込まれるため、鼻咽腔の違和感や見た目の悪さはありませんが、ステントが閉塞するリスクがやや高いです。以上から、胆管炎があり、膿のような粘度の高い胆汁が貯留している場合には、より治療効果を期待して内視鏡的経鼻胆管ドレナージ術が選択されることがあります。病気の状態により、適切な方法が選択されます。

質問

Q1. ステントに種類はありますか

プラスチック製と金属製があります。プラスチック製は2-3mm程度の径で、金属製は10mm前後の径のものが多く使用されます。金属ステントにはカバーがついたものと、ついていないものがあります。一般的に、径の太い金属製ステントの方が閉塞リスクが低いとされています。

Q2. ステントはどのぐらいで閉塞するのですか

プラスチックステントは 2―3 ヶ月程度、金属ステントは 6 ヶ月程度と言われていますが、患者さんの状態により、短くなることも長くなることもあります。閉塞した場合は、ステントを入れ替えるか、ステントを追加することがあります。患者さんによっては、短期間で閉塞を繰り返してしまう場合もあります。

Q3. ステントは抜くことは可能ですか

プラスチック製とカバーが付いた金属ステントは抜くことが可能ですが、カバーが付いていない金属ステントは抜くことができません。胆管の閉塞状態などに応じて、いずれのステントが適しているかが変わってきます。詳しくは担当の医師にご質問ください。

Q4. 内視鏡的経鼻胆管ドレナージ術で留置したチューブはいつまで入れているのですか

通常は胆管炎の急性期に挿入されることが多いため、病状が改善してきたらステントに交換されます。数日から1週間後に抜去されることが多いです。