理事長挨拶
理事長挨拶
2022年10月の定例評議員会の後に開催された新理事会(臨時理事会)において第6代日本胆道学会理事長に選任いただき、海野倫明理事長の後を引き継ぐこととなりました。1965年に胆のう造影研究会として発足して以来57年という歴史を有し、会員数3,500名を超える本学会の理事長への就任は大変光栄なことではございますが、同時にその責任の重さも痛感しております。初代有山㐮先生、第2代二村雄次先生、第3代故近藤哲先生、第4代乾和郎先生、第5代海野倫明先生といった歴代のカリスマ理事長が抜群の指導力をもって発展させてこられた本学会を、引き続き発展させていくために粉骨砕身の覚悟で臨みますので何卒よろしくお願い申し上げます。
一般社団法人日本胆道学会 理事長
富山大学学術研究部医学系内科学第三講座教授
安田一朗
今後の学会運営において、以下のテーマを掲げて学会活動を推進してまいります。
- 胆道研究の推進
年1回開催される学術集会においては、毎回胆道疾患の疫学・病態・診断・治療に関する基礎的・臨床的研究の成果が発表され、熱い議論が戦わされています。そうしたなかにおいて、本学会は内科医と外科医がほぼ同数を占める点が特長であり、多くのセッションにおいて内科医と外科医が一同に会してクロストークが展開されます。また、内科のなかでも内視鏡、腫瘍内科など専門領域は様々であり、内科・外科のみならず放射線、病理など様々な領域の専門医が意見を交換することは、情報の共有および考察を深め、より良い胆道疾患診療を導くことにつながります。今後もこうした多領域間のクロストークができる場を学会として提供してまいります。
また、現在「肝門部胆管癌術前ドレナージ」と「胆道癌のがん遺伝子パネル検査」に関する2つの学会主導研究が立ち上がっていますが、今後も多くの学会主導研究を立ち上げるとともに胆道疾患に関する疫学・診断・治療の実態を調査する全国調査や胆道がん登録も推進してまいります。 - 胆道領域のプロフェッショナルの育成
胆道領域を専門とする医師の育成は学会の最も重要な役割の一つです。会員の学びの場としての学会誌・ホームページのコンテンツ充実を図るとともに、乾前々理事長、海野前理事長の多大なご尽力によって創設・整備された胆道学会認定指導医制度をさらに発展させ、認定指導医が社会に広く認知されるよう取り組んでまいります。
なお、指導医養成講座の受講は2022年よりeラーニングとなり、オンデマンド配信による受講が可能となっていますが、今後も引き続きツールやコンテンツの充実を検討してまいります。 - より良い胆道診療のために
胆道疾患診療に関する標準的な指針を示すガイドラインの作成にこれまで以上に本学会が関与し、未着手の疾患や手技に関するガイドライン作成を本学会主導で取り組んでまいります。さらに保険未収載の診断・治療手技については、関連学会と連携して保険収載に向けての働きかけを継続的に行ってまいります。 - 国民への貢献
2021年の法人化に伴い、これまで以上に学会の国民の福祉への貢献が求められています。雑多で膨大な情報が氾濫する現代において、胆道病に関する正確な知識を国民へ発信していくことは本学会の責務です。学会ホームページにおける市民向けQ&Aの充実や市民公開講座の定期開催などを通じて情報の発信を行ってまいります。 - 世界への情報発信
わが国の胆道診療・研究レベルは世界トップクラスであり、これまで数多くの新規診断・治療手技の開発や胆道学の発展に日本の医師・研究者が多大な貢献をしてきました。しかし一方で、情報発信の手法の拙さや遅れから欧米に主導権を奪われるということがしばしばあり、また、情報入手の遅れから世界のトレンドから乗り遅れて欧米の後塵を拝することもありました。現代のグローバル社会において日本からの優れた研究成果をいち早く発信し、海外の医師・研究者との情報交換を活発に行って国際的なトレンドに乗るためには、学会の英文誌であるJHBPSとの関係をより緊密にし、わが国からの研究成果の発信を活性化するとともに、エビデンスレベルの高い論文を同誌に数多く供給することによって、ジャーナルのインパクトを高め、学術集会においてはインターナショナルセッションの充実や海外の関連学会との連携によって演者のみならず、海外からの学会参加者も集められるように尽力してまいります。