総胆管結石の外科治療

総胆管結石は、結石が出来た過程によって大きく2つに分けられます。
①胆のうにできた結石が胆管に流れ落ちて留まっている
② 総胆管内で胆汁の成分が固まって結石ができる
いずれの場合でも、十二指腸乳頭部(総胆管の十二指腸開口部)には十二指腸液の逆流を防止する乳頭括約筋があり、ここを通過できない結石が総胆管内に留まって総胆管結石になります。

一般的な外科治療(手術)の方法も大きく2つに分けられます。一つ目は、胆管切開結石摘出術で、①に対して選択されることの多い手術です。胆管を切開して結石を摘出し、胆管内に結石がなくなったことを確認して切開部を縫合閉鎖します。結石を摘出するために胆管内に胆道鏡という細い内視鏡を挿入することが多く、総胆管が正常の太さ(約8mm以下)の場合には、胆道鏡を挿入することが難しいために、この手術を選択できない場合があります。

二つ目は、総胆管胃(腸)吻合術で、②に対して選択されることの多い外科治療です。胆管を切断して結石を摘出した後、肝臓側の胆管を小腸や十二指腸と吻合する(繋ぎ合わせる)手術です。総胆管は胃や十二指腸と吻合するよりも小腸と吻合する方が、食べ物や腸液の逆流が少ないため、手術後のトラブルが少ないと考えられています。

いずれの手術においても、通常は胆のうを同時に切除します。また、いずれの手術も、腹腔鏡で施行することが可能です。胃の手術後に総胆管結石ができることがしばしばありますが、その場合でも腹腔鏡で施行することが可能な施設があります。

質問

Q1. 内視鏡による治療と外科治療のどちらを選べばよいでしょうか

内視鏡(口から胃を通過して十二指腸に挿入するもの)による治療は、お腹に傷をつけることなく行うことができるため、外科治療と比べて、体力的負担が軽減されます。その一方で、十二指腸乳頭部を拡げて結石を十二指腸側に取り出しますので、そのために十二指腸乳頭部の括約筋を切開すると、逆流防止機能が低下する可能性があります。また、十二指腸乳頭部には胆管だけでなく膵液が流れ出す膵管が開口しているため、治療の影響で膵炎を合併することがあります。内視鏡治療と外科治療の長所・短所を比べて、患者さんごとにどちらが適切かを検討して選ぶ必要があります。

Q2. 胆のう摘出手術後に総胆管結石ができましたが、腹腔鏡で外科治療を受けることはできますか

胆のう摘出術後であっても、腹腔鏡を使った手術を受けることは可能です。ただし、胆管周囲への胃や腸の癒着が強い場合等、開腹手術の方が安全な場合があります。

Q3. 総胆管を切断して小腸や十二指腸と吻合した場合に食べ物や腸液が胆管内に逆流するとどんな症状が出ますか

もっとも多い症状は発熱で、38℃を超えることがほとんどです。吻合部が肝臓側の総胆管よりも極端に狭くなっている場合や、逆流を繰り返したりすることが原因で胆管内に結石ができることがあります。その場合は発熱だけでなく、黄疸や上腹部・背部の痛みなどの症状が出ることがあります。