本来人間には体外から異物が入ってきたときに、それを排除するために免疫機構というものが働いています。何らかの原因により、免疫機構が自分自身を異物と認識し攻撃してしまうことがあり、このような機序が原因で起こる病気を自己免疫性疾患と言います。1995年に自己免疫の関与が考えられる膵炎として、自己免疫性膵炎が本邦から発信されました。その後、自己免疫性膵炎の患者さんに血液中のIgG4と呼ばれる抗体の値が高いことが多いと報告され、IgG4関連自己免疫性膵炎が提唱されました。また、膵臓以外の臓器に炎症を起こすことも多く、IgG4が関連する全身疾患と考えられています。膵臓以外の臓器の中で起こりやすいのが、胆管、唾液腺、後腹膜、腎臓で、胆管に生じるものがIgG4関連自己免疫性胆管炎です。
高齢の男性に多く、特徴としては炎症により胆管の壁が厚くなり内腔が狭くなるため胆汁が流れにくくなります。そのため、皮膚や目が黄色くなったり、尿が濃くなるなどの黄疸という症状が生じたりします。また、血液検査では肝胆道系の酵素(AST、ALT、ALP、γ—GTPなど)や、IgG4値が高くなります。他に胆管の壁が厚くなる病気には胆管がんや原発性硬化性胆管炎などがあるので、これらとの鑑別が大切です。治療法としてはステロイドという炎症を抑える治療が有効です。黄疸や感染を伴う胆管炎が生じている場合は、胆管にステント(細い管)を挿入して胆汁の流れを良くさせる場合もあります。ステロイドは最初に多い量で始めて、徐々に減量していきます。通常2~3年間の維持療法を行います。