急性胆管炎

胆管とは、肝臓で作られる胆汁が、肝臓から十二指腸へ流れ出る道です。胆管が、胆石や癌(がん)などで詰まることで、胆汁の流れが滞り、胆管内の圧力が高まり、身体症状として、腹痛や黄疸が生じます。このような状態になったときに、腸内の細菌などが胆管に逆流し、細菌感染を引き起こすことがあります。これを急性胆管炎と言い、発熱といった症状がでてきます。急性胆管炎では、胆管内の圧力が高く、細菌が血液内に入り込みやすい状態にあります。そのため、適切な治療がなされないと、細菌が血液内に入り込み、全身にさまざまな影響を引き起こす敗血症という状態になります。ここまで病態がすすむと、さまざまな臓器に感染した細菌の毒素によって中毒症状が起こり、生命の危険が生じることがあります。そのため、急性胆管炎になった場合には、まず細菌を殺すための抗生剤治療が試みられますが、改善がみられない場合には、胆管内の圧力を下げるための治療が必要になります。具体的には、胆管内にステント(細い管)を入れて滞った胆汁を、胆管外にだすような治療が必要で、口から挿入する内視鏡を用いたり、体の外から直接胆管を穿刺して、チューブを入れることができます。

質問

Q1.急性胆管炎と診断されました。そのまま治療しないでいたらどうなりますか?

敗血症(血管を介して菌が全身にまわり、いろんな部位で障害が生じます)になるリスクがあり、すぐ治療する必要があります。診断された病院でただちに治療を行ってください。

Q2.急性胆管炎が抗生剤で改善しました。今後も胆管炎が生じることはありますか?

胆管炎の原因となる疾患(結石や癌など)があります。原因疾患の治療を行なわないと再度胆管炎を起こす可能性が高いため、原因疾患の診断とともに治療を行うことをおすすめいたします。

Q3.内視鏡で治療すると言われました。どのような治療なのでしょうか?

口から内視鏡を飲んでいただきます。その後、内視鏡が十二指腸まで届いたら、胆管にカテーテルを挿入し、溜まった胆汁が流れるようにします。同時に、結石を除去したり、ステントを入れることもあります。ステントは、体内に埋め込まれるタイプのものや、体外に胆汁を出すために鼻からでてくるようなチューブがあります。治療中は、楽に治療が受けられるように、睡眠薬や鎮痛剤を用います。