胆石症

胆石症は胆道の中で、澱んだ胆汁が石のような固まり(結石:けっせき)を形成し、時に痛みや発熱などの様々な症状を引き起こす病態の総称です。結石の発生する場所によって胆のう結石、総胆管結石、肝内結石と呼ばれ(図)、それぞれで結石を構成する成分も異なり、症状や治療法、重症度も違います。ここでは一般に頻度の高い胆のう結石を説明します。

肝臓では脂肪などの消化に関わる胆汁(たんじゅう)が作られ、細い胆管に分泌され肝臓の外で1本に合流した太い胆管に集められ、消化された食物が通過する十二指腸へ排出されます。胆のうは太い胆管の途中で合流しますが、胆汁を一時的に溜め成分を濃くし、食事に伴う腸の動きによって収縮する袋状のポンプ作用を持っています。胆管を川に例えれば、胆のうは溜池のようなもので貯水と流れを調節するものと考えるとわかりやすいです。溜池も長い年月で澱みが出るように、胆汁の成分に変化や収縮能の低下、細菌繁殖などで澱みから結石を形成することがあります。結石の形成に色々な要素が関係しますが、食生活や体質などが考えられています。

胆のう結石が存在しても、胆のうの機能や形状は保たれ症状がないことも多いのですが胆管に繋がる細い管が詰まり、胆汁のうっ滞と共に炎症をおこすと、主に右上の腹部を中心に強い痛み発作をおこします。食後に起きやすいのが特徴で、胆のうの存在する右の肋骨の下に限局する上腹部痛(息を吸うときの圧迫痛)、発熱では胆石症による胆のう炎が強く疑われます。
特徴的な症状によって検査を行い、胆のう内の結石の存在で診断されます。検診や他の病気の画像検査で、時々無症状で発見されることもあります。胆石症の治療では、1)経過観察2)薬物を用いて結石を溶解する胆のう温存治療3)胆のう摘出術の選択になります。炎症による症状を伴っている場合は、重症の度合いで治療を急ぐ必要もありますので、かかった医師の指示に従ってください。

質問

Q1.胆のうから胆石だけをとることができますか?

胆のうを切開し胆石だけを取る手術法は一般には考えられていません。胆石が原因で外科治療を行う場合は胆石とともに胆のうを切除します。

Q2.胆のうを取っても大丈夫なのでしょうか?

結石が多く発生したり、炎症をおこす(繰り返す)胆のうは、胆汁を溜めたり収縮して排出するような本来の機能は低下しています。また胆のうを切開することでも機能は損なわれると考えられています。胆汁の貯留、腸への排出機能は残された胆管などの働きで補われます。消化不良をおこす可能性があっても現在の薬物治療で十分に調節できます。

Q3.胆石症があると、癌(がん)になりやすいですか?

因果関係は長年研究されていますが、高い可能性で癌をひきおこすとは断言できません。ただし定期的な血液検査による炎症や肝機能異常の確認や、超音波検査などで胆のうの壁に変化が起きていないかをかかりつけ医で行っていただくことを強くお勧めします。何事も早期発見が必要です。

(イラストは、L&Kメディカルアートクリエイターズ株式会社に作成を依頼しました。)